エロス的という言葉を説明するときに
母親のおっぱいと赤ん坊の唇、
男女の性愛を例にとる。
両生類には乳房もないし乳首もない、唇もない。
その状態から出発して
母親の乳首ができて子どもには唇ができて
実に不思議なことだが授乳ができるようになった。
実際の進化の過程を見てみたいものだが、
これは同時に起こらないとお互いに無駄なことになるので、
淘汰圧がどのように作用したものか、
難しいところがある。
たとえば最終的には乳首と唇の関係になるとしても、
最初の淘汰圧は、男性が女性の乳首に強く反応してセレクションがかかるとか、
赤ん坊の唇ができると食べ物をこぼさないので有利になるとか、
そんな事情があったかともしれない。
一応お互いにそのようにできあがってしまうと、
赤ん坊のおっぱいが欲しいという欲求と、
母親のおっぱいを飲ませたいという欲求がいったするというのが
エロス的関係である。
相手のことはあまり考えなくても、自分の欲求に従っているだけで、
ぴったりうまく相手の欲求を最大限に引き出してうまくいってしまうという状況。
実際にはどうかよく分からない。
そんな母親がどのくらいいるものか、そうでない母親は本能が壊れているといってしまっていいものなのか、
そのあたりも実際は分からない。
ただ、お話としてはそういうことになる。
男女の性愛場面でのエロス的関係も同様で、
どちらかが自分勝手に満足していてあいては満足していないということにはならず、
かなり自分勝手に振る舞っても結局は相手の欲求を最大限に満足させる刺激になり解決になるという関係である。
これもやはりお話の部分が多くて、
実際はどうかとも思う。
男女の場合でいえば、妊娠するためには排卵期に射精があればいいだけなので、
特にエロス的関係の成就を設定しなくても、子どもは残すことができる。
しかし理念としては時分の快感が同時に相手の快感であるという
真人に円満な関係であって、そのようなものをエロス的と名付けている。
丸く収まるいい関係である。