大人の場合で、生理的な自己愛状態は睡眠であるといわれる。
これはなかなか思い切った説だ。
人間は夜になると睡眠の中で赤ん坊の時代の一次的自己愛の状態に回復し、
朝に目が覚めると、赤ん坊から大人までの自己愛の発達を毎日繰り返しているのだ
という説もある。
これなどはフロイトが個体発生は系統発生を反復するという原則を精神発達にも当てはめて
口唇期、肛門期、性器期などと論じていったのと似ている論法で、
フェダーンの思いつき。
朝起きてすぐは自己愛状態。身繕いをしているうちにだんだん現実感覚を取り戻して外向きの自己愛を整える。そして仕事に出て行く。
寝付きのよい人は楽しい空想で一杯になって全能感に満たされて自分のことを楽観的に考えられる人。
自己愛状態にぱっとなれる人は寝付きがいい。
反対に自己愛状態に戻れない人は寝付きが悪い。
周りへの配慮を捨て去り、本来の自分に戻れる人は寝付きがいい。
眠るときも関心が外に向いていると眠れない。
自己愛をここまで拡張すると
概念の輪郭も保てないような気がするがいろいろな説があってもいいのだろう