アルコール依存症診断基準
- 離脱症状(酒が切れると出現する症状)
- 軽度の離脱症状
- 睡眠障害、不眠、悪夢、覚醒
- ふるえ(手指、躯幹)
- 夜間の発汗、心悸亢進、不整脈
- 情緒不安定、不安、希死念慮
- てんかん発作(断酒後48時間以内)
- せん妄状態
- 意識混濁
- 幻視
- 幻聴
- アルコール幻覚症(主に幻聴が持続する)
- 飲酒行動の異常
- 負の強化への抵抗
- 強迫的飲酒要求による飲酒抑制困難
- 連続飲酒発作の出現
- 山型飲酒サイクル
飲酒→酩酊→入眠→覚醒→飲酒→酩酊→
アルコール依存症の定義
- 精神神経症状
以下に記した徴候1~3のうち、一つないしそれ以上確認すること。
- 軽度の離脱症状:従来は禁断症状と呼ばれていた。しかし、完全に酒を断たなくても、血中アルコール濃度の低下にともなって生じる症状なので、この用語が使用されるようになった。薬理学では退薬症候とも呼ばれる。飲酒を中断させて6~96時間を経た時点で次のa~dの4つのうち1つ以上の症状が認められる。
- 睡眠障害:飲酒しないと不穏、苦悶をともなった不眠を生じ、夜間しばしば覚醒し、悪夢をともない、熟睡感がない。
- 振戦:手指、躯幹の振戦を認める。なおその振戦は、もちろん諸種の神経疾患によるものと鑑別を必要とする.
- 自律神経障害:特に夜間、一度寝入ってから発作的な発汗があり、しばしば覚醒する。時に悪寒戦慄をともなう。持続的な心悸亢進を訴え、頻脈または不整脈を認める。
- 情緒障害:情緒過敏状態、高度の不安、希死念慮、支配観念としての強迫的飲酒欲求がある。
- アルコール離脱けいれん発作:飲酒を突然中断した後(多くは、中断後48時間以内に)強直性-間代性のけいれん発作の臨床的および脳波的発作症状をおこした場合をいう。この場合、一次性てんかんおよびその他の意識障害を伴う発作性疾患を除外する。
- 離脱せん妄状態:飲酒を突然中断した後、意識混濁が生じ、無数の小動物視などの幻視、複数の会話調などの幻聴をともなうせん妄状態ないし、これに準じた状態になった場合をいう。
- 飲酒行動の異常
- 酒酔い運転、酒気帯び運転の反復
- 仕事中の酩酊
- 隠れ飲み
- 酔うと必ずからむ
- 酔うとほとんど必ず大暴れする
- 何度も禁酒(断酒)を宣言する
- 毎日純アルコール150ml(清酒換算約5合)以上飲酒する
- がぶ飲み(短時間に大量飲酒)
- テレホニスムス(酔うと不適当な時間・場所・距離の電話をする)
- 真性ディプソマニア(喝酒症)
- その他飲酒が関与する行動異常
アルコール中毒診断会議による概念整理
急性アルコール中毒
- アルコールによる高度の意識障害(普通酩酊)
- 異常酩酊 複雑酩酊 病的酩酊
アルコール依存症
アルコール精神病
- アルコール性てんかん様発作
- アルコール性幻覚症・振戦せん妄
- アルコール性痴呆
- アルコール性コルサコフ精神病
- アルコール性嫉妬妄想
- その他のアルコール精神病
- アルコール関連社会的障害
アルコール依存徴候を示す者は、長期の経過の結果次のような社会的障害を生ずる。
- 飲酒に関連した社会的地位の低下
- 飲酒に関連した離婚やそのおそれ
- 飲酒に関連した失職やそのおそれ
- 飲酒を上司、配偶者、家族に非難される
- 飲酒・酩酊による警察保護
- 飲酒・酩酊による保護以外の警察問題
- 飲酒による欠勤
- 飲酒が原因でたびたび勤め先を変える
- その他飲酒による社会的障害
- アルコール関連身体障害
- 直接表現
- 間接表現
- 弱視
- 胃・十二指腸潰瘍
- 脂肪肝
- 心筋障害
- ペラグラ
- マロリー・ワイス症候群
- 肝硬変(→食道静脈瘤)
- 貧血
- 脚気
- 多発性神経炎
- 膵炎
- 血液凝固障害
- 筋炎
- 大脳萎縮(アルコール痴呆化)
- ウェルニッケ・コルサコフ症候群(糖尿代謝異常、陰萎など)
- 脳炎(ニコチン酸欠乏症)
- その他アルコール起因性が疑われる高血圧、糖代謝異常、陰萎など
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