緩衝地帯の消失

たった一人の人間の狂気が人類を破滅させる具体的な危険について誰か話していた。

昔からそのような種類の狂気はあったが、具体的な方法がなかった。
いまはないわけでもない。

昔は人間が一人で衣食住をまかなうことはできなかったと思う。
お互いに依存し合い、その中で相互に「監視」もしていたものだろう。

今後、そうした監視を嫌う人が、
独自の生活と思想を実現させていったら、
幸福であるかもしれないし、とても危険かもしれない。

たとえばクジラ問題であんなにも熱くなる人の気持ちは、
概念として理解できるとしても、
了解したとか納得したとかは言い難いと思う人も多いだろう。

いままでは、独自な考えの人がいても、それを薄める共同体というもの、
緩衝地帯があった。
今後それがむき出しに世間に露出するとすれば、
難しい事態である。