人生を濃く生きる人

濃密な時間を生きる人がいるものだ。

ある人の話を聞いていると、
もう、何人分もの体験をしているかのようだ。

どうしてあんなに楽しいことを考え付くんだろう。
プレゼントとか休日の計画とか。
こういう人が人生プランナーになってくれたら、
人生を二倍か三倍楽しめるだろう。
ちょっとしたコツらしい。
でもまた一方、ついてこられる人も少ないらしく、
ため息をついたり悩んだりしている。

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ある人は、自分はハワイのある部族の族長だと言って、
ナントカナントカという名前も教えてくれた。
なぜ自分が族長なのか、なぜ日本にいるのか、
なぜ時々ハワイの別荘に一人で行ってしまうのか、
一種の輪廻転生の話なだが、
そのように物語ることによって、
その人の人生の意味が深くなり、時間が濃縮されてくることは確かなのだ。

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どっちの人も酒飲みで、
いろいろな酒を好み、
ワインの収集と手入れには時間と金をかけている。
何かの理由があれば、
三題噺のような感じで、理由がこしらえられ、
いわくのあるワインが出てくる。
トカイ酒が出たのはゲーテ「ファウスト」の新訳が出たときだった。

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酒は人生を濃くすると思う。

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どちらの人にも、村上春樹を問いかけてみたのだが、
族長さんは、ノルウェイの森以降関心なし。
楽しい人生プランナーさんは、

こういうタイプの人間をこういう様式で描けば、
それが村上ワールドになるっていう方程式は、分かる。
どんなときでも朝食を食べようという潜在的な提案には賛成。

とのことで、この頃の日本人にはちょうどいいといった感じのとらえ方らしい。

ボサーッと生きてると村上ワールドになっちゃうねと
私がいうと、それも違うのだということらしい。

それぞれが生きている時間を比較して、
ボサーッと生きているなんて、そんなはずはない。
それを言葉にするか、何かで表現するか、
発見を心がけるか、理由や因果関係を考えるか、
そういう面での態度の問題で、
特に優劣はないのだとの話だった。
愛が深ければいいのだとのこと。

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優劣ではないかもしれないが、
違いは大きいと思う。

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わたしは20年くらい損をしたけれど、
これから、濃く生きようと思っている。