行方不明で一週間、けろりとして帰り記憶がない

自分の家族が突然行方不明になって
一週間連絡も取れず
しかし平気で帰ってきて
事情を聞いても自分にも分からないというだけで
いったい何が何だか分からない
という場合たいへん困るだろうと思う

病気でない場合もいろいろとあるのだと思うが
病気の場合も知られている

うつ病に伴う場合はFuge(フーガ:遁走)という。
てんかんに伴うものはポリオマニア(徘徊狂)という名前がついている。
意識の変容があるこことが多く記憶がはっきりしない。
徘徊している間に目的意識もはっきりしないのだが
それでも交通手段などは適切に使う。

いったい何が起こっているのかということになる。
だいたいの解説は、
やはり意識変容が伴っていて、たとえば半分睡眠の寝ぼけたような状態で動き回っているのではないかということだ。

うつ病はある程度持続的なものだけれど、それでも意識の変容を伴うことは少ないから
不思議ではある。

てんかんとすれば意識の変容は説明しやすいがそれは持続するものではなくて発作なのだから
一週間もの間、発作とは考えられない。
そこで、てんかんの機序を考える場合には、最初に発作が起こって意識変容して、
それが元に戻らず、一週間持続したと考える。

もうろう状態(twilight)という言い方もされる。
この意識状態で行動すると「自動症」の様相を呈する。
目的意識や意志がはっきりせず、それでも切符を買ったり電車に乗ったり、食事をしたりは自動的にできている。

一週間の間に発作が繰り返し起こっていると考えれば、
かなり意識が醒めにくくなることも推定できる。

うつ病の場合は意識変容が説明しにくい。

解離性遁走または心因性遁走というものもあり、これは疾病利得がありそうな場合に考えやすい。

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個人的に思うことは
遁走の間、自由意志は薄くなっているし、記憶も曖昧でもうろう状態に近いのにもかかわらず、
目的地まで行って帰ってこられるのだから、そのような意志のない自動機械としての人間の側面に驚く。
自由意志はなくても生きていけるのだと改めて思う。