多少のマリア

我々はあらゆる女人の中に多少のマリアを感じるであろう。同時に又あらゆる男子の中にも――。いや、我々は炉に燃える火や畠の野菜や素焼きの瓶や厳畳に出来た腰かけの中にも多少のマリアを感じるであろう 『西方の人』 芥川龍之介